「痛い」「感じない」からセックスしたくない――女性がセックスレスになる本当の理由

セックスの時間が「つらい」「苦痛」と感じてしまう女性は、決して少なくありません。「感じない」「痛い」「無理して応じている」という悩みを抱えながらも、誰にも相談できずに我慢している人が多いのが現実です。ここでは、女性が“感じない・痛い”ことでセックスをしたくなくなる主な原因を、心の深い部分に焦点を当てて考えてみます。

1. パートナーへの信頼や尊敬が薄れると、体も反応しなくなる

多くの女性にとって、セックスは“心と体のつながり”です。だからこそ、パートナーへの信頼や尊敬が薄れたとき、体が自然に反応しなくなるのは不思議なことではありません。「この人に触れられても嬉しくない」「優しくない」「思いやりが感じられない」と思った瞬間、心が閉じ、体も拒絶反応を起こします。恋愛初期のような安心感やときめきがなくなると、身体の潤いも減り、結果的に痛みを伴う行為になってしまうのです。

2. 不信感や軽蔑の感情が、性的興奮を奪っていく

パートナーに対して不満や不信、あるいは「尊敬できない」「頼りない」「馬鹿にしている」といった感情を抱くと、その瞬間に性的な興奮は冷めてしまいます。心の奥では「この人と一緒にいたくない」「抱かれたくない」という拒否反応が生まれ、体は防御反応として濡れにくくなります。これは生理的な現象であり、意志の問題ではありません。“心が受け入れていない相手”に対して、体が自然にブレーキをかけているのです。

3. 「愛されていない」と感じると、心も体も閉じていく

セックスを通じて愛情を感じたいのに、パートナーが自分の気持ちを考えてくれない、会話が減った、態度が冷たい――そんな状況では「抱かれたい」という感情は生まれません。むしろ「どうせ自分のことなんてわかっていない」と感じた瞬間、セックスは“つながり”ではなく“孤独を突きつけられる時間”になってしまいます。愛情を感じられない行為は、快感どころか心の痛みに変わります。

4. 体が痛いのは「嫌だ」という心のサイン

「濡れない」「痛い」といった身体の反応は、単なる生理現象ではなく、心が「無理をしている」「この関係に違和感がある」と訴えているサインでもあります。性器が乾くのはホルモンのせいだけではなく、心の安全が失われているから。不安、怒り、軽蔑、悲しみ――そのどれかを抱えたままでは、体が自然に開くことはありません。心が閉じれば、体も閉じる。セックスの痛みは、心が「もう傷つきたくない」と訴えているようなものです。

5. 「感じない」「痛い」自分を責めないで

多くの女性が「私が冷たいのかも」「女として終わったのかな」と自分を責めてしまいます。でも、それは違います。体が反応しないのは、あなたの中に“もうこれ以上我慢したくない”という正直な気持ちがあるからです。そのサインを無視して無理を続けるほど、心も体もますます固まってしまいます。まずは“自分の感情”に正直になることから始めましょう。

6. おわりに

家族としての愛情があっても、関係性や環境の変化によって性行為がなくなることは珍しくありません。多くの人が「対話をする」「スキンシップを増やす」「旅行に行く」など、距離を縮める努力をしますが、実際にはそれだけで改善するケースは多くありません。

なぜうまくいかないのかというと、セックスレスの根本にあるのは一時的な行動ではなく、関係性や環境そのものの変化だからです。恋人だった頃と同じ距離感や会話、空気感を求めても、今の関係には合わないことが多いのです。お互いの立場、役割、心の在り方が変わった今、求める形も変わって当然なのです。

「どうすればお互いが安心して触れ合える関係を築けるか」を考えると、実はその答えは“無理にセックスを取り戻すこと”ではありません。セックスパートナーとしての関係にこだわらず、執着しない、セックスしないことを責めない――そうした距離感を持つことが、関係を長く穏やかに続けるために必要です。

性的な欲求を無理に相手へ押し付けるよりも、パートナーが解消してくれない性的な不満は、外の世界や風俗などで安全に発散するという選択も、現実的で健全な折り合いのつけ方の一つです。性の問題を「愛の問題」と混同せず、それぞれが心と身体のバランスを取る方法を見つけること――それが、成熟した関係のひとつの形だといえるのかもしれません。